デザイナーのためのヨーロッパホテルガイド 〜水まわり編〜 Vol.81

QFホテル・ドレスデン(ドイツ・ドレスデン)

2012.05.07

QF HOTEL DRESDEN

Add: Quartier an der Frauenkirche Neumarkt 1 01067 Dresden Germany
Tel: +49-351-56 33 09-0
Fax: +49-351-56 33 09-911
E-mail: info@qf-hotel.de
URL: http://www.qf-hotel.de

ドレスデン旧市街のノイマルクト広場に面したブティックホテル。アールを描くファサードが特徴の外観。

  「エルベ河岸のフィレンツェ」とも称される芸術と音楽の古都ドレスデン。旧市街と新市街を結ぶエルベ川に架かるアウグストゥス橋の上から、歴史的建築物のシルエットと、その上空に打ち上げられる花火との大絵巻を眺めながら迎える新年は格別のものだ。元旦にはドレスデンの象徴的存在であるフラウエン教会(聖母教会)で、ヘンデルのオラトリオ「メサイア」のコンサートがあり、晴れやかに新春を迎えることができる。ブティックホテル「QFホテル」は、フラウエン教会を囲む形で広がるノイマルクト広場に面し、フラウエン教会のお隣さんという絶好のロケーションに、2007年3月にオープンした。ゼンパーオーパー(ザクセン州立歌劇場)、ラファエロの門外不出の傑作『システィーナのマドンナ』があるアルテ・マイスター絵画館、まばゆいばかりの宝物館「緑の丸天井」など、ドレスデン観光ハイライトへ歩いてすぐで本当に便利だ。

  今のホテルの場所には元々創業1804年という老舗ホテル「シュタット・ベルリン」(ベルリンシティの意)があり、嘗てドストエフスキーやショパンも滞在していたという。しかしこの歴史に残るシュタット・ベルリンは1945年のドレスデン大空襲で破壊されてしまう。QFホテルはその跡地に建設され、ドレスデンでは最も洗練されたインテリアのホテルだ。QFは「Quartier an der Frauenkirche(クヴァルティエ・アン・デア・フラウエンキルヒェ=フラウエン教会クオーター)」の略で、ホテルは同名のショッピングモールとコンプレクスを形成する。再建プロジェクトでは、うぐいす色のファサードのデザインに昔の建物の特徴を取り入れることも重要視され、角の部分も当時のように独特のアールを描いている。

  全欧の設計事務所を対象としたデザインコンペで、ローマの「ホテル・エデン」や「グランドホテル・デ・ラ・ミネルヴァ」を始め、各国で数多くのデラックスホテルを手掛けてきた著名な建築デザイナー、ロレンツォ・ベリーニのコンセプトが選ばれた。“ドレスドナー・バロック”と呼ばれ、ドレスデン特有のバロック建築が建ち並ぶ旧市街の中で、ローマ生まれのイタリアンシックな空間コーディネートを満喫できる。ロビーは壁の燻し銀の渋い輝きに包まれ、メタルとガラスのエレベーターシャフトが円筒状の吹き抜け空間をシャープに昇降する。光天井を見上げると、柔らかい曲線の白い光輪が渦巻いて天に昇るかのようにドラマチックだ。夜はコージーな雰囲気のバー&ラウンジで、世界最北のワイン産地ザクセンのワインを味わってみたい。朝食は最上階6F、テラス付きの明るいカフェバー的空間でいただく。市松模様のモダンなガラスの壁の席が素敵なのだが、あえてそこには座らず、距離を置いて眺められる別の席にした。というのもフラウエン教会の「石の釣り鐘」とも呼ばれるドームが見えるように開けられた窓を発見したからだ。壁が額縁となり、絵画を鑑賞する印象だ。

  コンテンポラリー&エレガントなインテリアの客室は全95室あり、うち3室が各々にスタイルの異なるスイートで、最も眺めのいい最上階に位置する。トラディショナルな「クラシックスイート」、おしゃれでワンルームの「ブティックスイート」、広場を眺め下ろす「ノイマルクトスイート」から選べる。家具に使われている木やファブリックの素材からアイボリー、グレー、マロンクリーム、アースカラーといった色使いも、ドレスデンでの見切れないほどのミュージアム見学疲れの後で、上質なくつろぎを約束してくれる。バスルームには、イタリア産の天然石がとても贅沢に使われた。フラウエン教会の砂岩を思わせる淡いトーンの石だ。ブティックスイートは部屋自体が57㎡で、それに53㎡もの驚くほど広いテラスが付いているのも魅力だ。そしてこのテラスからはフラウエン教会、宮廷教会の塔やレジデンツ城の屋根、美術アカデミーのガラスの円蓋まで視線が届く。フラウエン教会は米英連合軍によるドレスデン大空襲の犠牲となり、東西ドイツ再統一で再建事業が本格化し、11年もの歳月を経て再びその美しさを取り戻した。日が沈んで夜の闇となるまでの間の全てが深い青に包まれる時間、その青の時間にテラスからフラウエン教会のドームを眼前にすると、鐘塔からハレルヤコーラスが響いてくるかのようだった。



1930年代を郷愁したくなるロビー&レセプション。ラウンジを照らす大きなリング状のライトが提灯のように釣り下がる。

滞在したのは今年の元旦で、ドイツではまだ前年のクリスマスツリーを飾っているのが普通。


見上げると迫力のアトリウム。エレベーターのメタル部分に光のラインが映る。


エントランスホール&ロビーのエレベーター周り。

エントランスホールから続くラウンジバー。デザイナーのロレンツォ・ベリーニに捧げて「Bellini's」。カジュアルなカフェ的コーナー、恋人同士にぴったりのコーナーなどキャラクターに富んだ空間構成。現在この上の階をベリーニのデザインで新しくホテルレストランに改装中とのこと。
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