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「シチズンM」はアムステルダムのスキポール空港ホテルとして2008年6月にデビューを飾った。「シチズンM」の"M"はモーバイルを象徴。2008年度の「ベスト・ホテルデザイン賞」や「ワールドワイド・ホスリタリティー賞」を獲得している。"お手頃ラグジュアリー"を提唱し、料金は69ユーロから最高149ユーロまで。ヨーロッパで大人気のファッションブランド「メックス(Mexx)」の創立者でオベロイ・インターナショナル・ホテル&リゾーツのパートナーでもあるインド人大富豪ラタン・チャダが発起人の将来性あふれるプロジェクトである。
ファサードに施されたアートワークから他のホテルとはちょっと違っている。中に入るとリビングラウンジにはアンディ・ウォーホルの描いたオランダのベアトリクス女王のポップな肖像画アートが陽気にゲストを迎えてくれる。タッチスクリーンで簡単にチェックイン&チェックアウト。パブリックエリアのインテリアはデザイナー家具の世界的ブランド、「ヴィトラ」とのドリームチーム的コラボレーションが実現し、ジョージ・ネルソン、ブルーレック兄弟、ヘラ・ヨンゲリウス等スターデザイナーのファニチャーでアレンジされ、デザインショールームに滞在する気分にならないでもない。マックのコンピュータが数台揃う「ワークステーション」では無料でインターネットができ、24時間ノンストップの飲食用ラウンジ「キャンティーンM」ではヘルシーなスナックやスイーツが充実し、カクテル類はちゃんとスタッフがミックスしてくれる。特に注目したいのは「キッズコーナー」で、カラフルな子供用のパントンチェアやレイ&チャールズ・イームズのプライウッドの象ちゃんも用意され、ヤングファミリーにはとても嬉しいサービスだ。
客室デザインはロブ・ワーゲマンスの指揮でアムステルダムを拠点に国際的に活躍するコンクリート建築事務所が担当した。この事務所はメルセデスベンツの新しいミュージアムの展示デザインでも脚光を浴びた先鋭集団で、ここでも期待を裏切らない結果となっている。客室はモジュラーシステムで専用の工場で生産されトラックで運ばれプレハブ建築のように現場で組み立てられる。内装する感覚でなく工業デザインのように製品化されたゲストルームという印象が強い。イノベイティブなコンストラクション・プロセスでコストパフォーマンスに優れると同時に結果的によりエコロジカルな手段になった。
部屋はベッド(2.2 x 2mのスーパーキングサイズ)がフロントの窓際に位置し、フラットスクリーンTV(無料映画チャンネル有)はベッドに横になってもきれいに見える角度にセッティングされている。ベッドのシーツやリネン類は5つ星のリッツカールトンも使っているイタリアのフレッテ社のもの。カーテンを閉めてベッドエリアと分割することもできる。部屋には計14の光源がセットされ、ゲストが自分の好みでロマンチックな光、ビジネスライクな光、読書用とかプログラミングをセレクトできる。照明だけでなくテクニックは室温やBGMも全てリモコン操作でパーソナルな空間が可能だ。テクノロジー・パートナーのフィリップス社でオリジナル開発されデザインされた、直感的に使えるタッチスクリーンのモッドパッドが活躍する。鳥のさえずりから最後には象の雄叫び声になる目覚ましプログラムだったりする。RFID-チップで好みの環境をメモリーでき次に同チェーンのホテルを利用する時は自分の環境がすぐ整う仕組み。
バスルームは"ルーム"とは表現しがたく、水を必要とする前提条件があるだけで、部屋全体を構成する個々のデザインエレメントがオープンに配された。引き戸で開く2つの大きなガラスのシリンダーがシャワーとトイレ。光にイルミネーションされる透明なレインシャワーのシリンダーに、サンドブラストの乳白色のガラスに目隠しされるトイレのシリンダー。円形天井パネルからLEDのカラフルな間接光が降り注ぐ。明るいブルーからダークな紫まで光のムードを気分次第でセットできる。洗面台は白いコリアン製で空間に立つコラム。照明付き回転式の姿見と化粧鏡のエレメントなど空間節約するとともに実に機能的でもある。オリジナル開発のアメニティもラグジュアリーな香りで、コムデギャルソンやヴィクトール&ロルフの香水もクリエートした調香師が手がけた。
スキポール空港に続いて今年5月にはアムステルダムのワールドトレードセンターと中心街の間のプリンセス・イレーネ通りにも進出している。これからヨーロッパのメトロポールに20ホテルのチェーン展開計画を推進中だ。
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