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パリ20区、観光中心地からは離れるが、いまでもパリらしい香りに満ちたサン・ブレーズ地区のバニョレ通り、もとは駐車場だったところに「ママ・シェルター」は新築された。若いミュージシャンの登竜門として伝説的なライブハウス「ラ・フレシュ・ドール」の御近所でミュージシャンもよく泊まっている。設計はローランド・カストロで、建物自体はモダンなオフィスビルの外観だ。しかしその外観に惑わされてはいけない。"ママの避難所"に一歩入るとフィリップ・スタルクがデザインしたエスプリに満ちた暖かい空間に包まれる。
ホテルは「クラブメッド」の共同創立者ジルベール・トリガノの息子で「クラブメッド」の前会長セルジュ・トリガノ氏のイニシアチブで生まれた。またその息子のジェレミーがマーケティングを受け持っている。今までこのどちらかというと辺鄙なあたりにホテル開業する勇気があった経営者はいなかった。トリガノ氏が未来のホテルの理想像を夢見たのは最初10年ほど前のことだという。2008年10月のオープン以来「ママ・シェルター」は注目の的だ。「母親に庇護されるように安心できる隠れ処、都市の中のキブツのようにゲストを受け入れる場所」であり「セクシーでエコロジカルなホテル」を目指す。プロジェクトには有名なホテル「プラザ・アテネ」のシェフコンシェルジェも加担して未経験の新米スタッフの教育に勤めた。
客室(全172室)はコンクリート打ち出しで大半は17m2と小さいが、それでも快適。一番安ければ79ユーロで素泊まりできる。最上階にはテラス付きの35m2のスイートがあるが、ここは高くなってしまう。近所に飲食店があまりないので電子レンジ付きミニキッチン付で自炊アパート的性格も備える。マットレスやベッドリネンはデラックスホテルとかわらない最高級品だ。TV、ラジオ、CD/DVDプレイヤー兼用のiMac付き。
プラスチックの夏祭りの屋台で買ってもらうようなお面がランプシェードという遊び心もたまらない。バスルームもコンパクトだがもちろんスタルクのプロダクトでハイクオリティーは保証済み。
1階のパブリックエリアにはバーやスモーカーに嬉しいオールシーズンのテラス席もあるブラッスリー、アットホームにグルメできるレストランなど泊まらなくても出かけたい飲食の場が集う。ヌーヴェル・キュイジーヌを発明した一人と言われる名シェフ、アラン・サンドラスの料理がランチメニュー25ユーロで味わえる。数年前にミシュランの3つ星を返却して話題になったこだわりのシェフだ。12mもの長い大きなテーブルが陣取っていて、ゲストの気持ちを刺激して朝食時にもコミュニケーションを促す。
なんとなくお盆やお正月に田舎に帰ってお母さんの手料理を味わう感触をパリで体験できるホテルだろうか。
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