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マンダリン・オリエンタル・バルセロナ(スペイン・バルセロナ)

2010.02.01

マンダリン・オリエンタル・バルセロナ
Mandarin Oriental, Barcelona


Add: Passeig de Gràcia, 38-40, 08007 Barcelona, Spain
Tel: +34 93 151 88 88
Fax: +34 93 151 88 89
E-mail:
mobcn-reservations@mohg.com
URL: www.mandarinoriental.com

グラシア通りに面したホテル

スペインの首都はマドリッドでもスパニッシュデザインの首都はバルセロナ。バルセロナのグラシア通りに昨年の11月26日にオープンした「マンダリン・オリエンタル・バルセロナ」は、スペイン出身で今をときめくトップデザイナー、パトリシア・ウルキオラの感性と理性にトータルデザインされ、まさにバルセロナに相応しい究極のラグジュアリー・デザインホテルである。カサ・ミラやカサ・バトリョといったガウディの建築が同じ通りに並び、足下を見ると舗道のタイルもガウディのデザインという高級ショッピング街に位置する。ホテルに改装されたのは20世紀半ばの銀行だった建物。ホテルは見た目だけのスタイリッシュな環境ではなく、郷愁と未来を同時に感じさせデザイン詩情に満ちたコンフォート空間がゲストを迎える。地中海貿易の拠点として昔から外国との交流で新文化を受容してきたバルセロナのコスモポリタンな性格も反映された。ホテルグループの原点があるアジアのエッセンスもそれとなく漂ってくる。

パトリシア・ウルキオラ(Patricia Urquiola)は1961年スペインのオヴィエドに生まれ、マドリッド工科大とミラノ工科大で建築、デザインを学び2001年独立してミラノに事務所を設立する。女性の繊細な感覚ならではの柔らかな独自のデザインランゲージを確立し、伝統職人技術とテクノロジーを結びつけたり、植物的オーナメントを新解釈して家具に応用したり、モローゾやB&Bイタリアを始めトップメーカーにひっぱりだこの今最も輝く女性デザイナーだ。一昨年にベルギーの見本市でマンダリンオリエンタル側がインテリアデザインに助力してくれないかとウルキオラに話を持ち込んだ。ホテル側は今回のウルキオラの仕事に感激し既にプエルトリコの新しいリゾートホテルとバルセロナの第2号館のインテリアも彼女に任せる計画という。

ホテルのエントランスホールへのその最初の歩みから別世界だ。渡り橋のようなキャットウォーク、着物の模様を手織りしたかのカーペットの上を進んでアトリウム空間を抜けていく。歌舞伎劇場の花道の雰囲気もする。アトリウムを囲む壁の窓の開け方がシンフォニックだ。

エントランスの下のレベルにホテルの中核となるラウンジ&レストラン「ブラン」(Blanc)、「白」という名前そのままに透明感あふれる空間を表す。日中はガラスの屋根から柔らかい光が注ぐ。パネルともカーテンとも言えないが、幾何学的なメタルの個々のピースを繋げて空間を構成するハンギング・エレメントが実に可憐で美しい。ダイニングテーブルについてもウルキオラの光と影のデザイン魔法にかかって食べるのも忘れてしまいそうだ。緑の植物がポイントを押さえて配される。アンダルシアの宮殿のパティオにいる気分にもなる。

英国の伝統をコンテンポラリーに新解釈した「バンカーズ・バー」(Banker's Bar)が中2階にある。このインテリアに元々は銀行だったホテルの建物の歴史が蘇る。オリジナルの古いスチールの貸し金庫の引き出しが一つの壁を造形しているのだ。今でも引き出しを開けたらダイヤの首飾りでも出てきそうにリアル。タータンチェックのカーペットがスコットランドを想わせウィスキーがより美味しくなるだろう。

そしてバーと同じレベルにあるグルメレストラン「モーメンツ」(MOments)を忘れてはならない。ゴールドと琥珀色に包まれるゴージャス空間だけど、デザインは謙虚に脇役に回り、主役は料理に譲った。日本橋の東京支店を御存知の方もいられるだろうが、話題の「レストラン・サンパウ」のミシュラン3つ星女性シェフ、カルメ・ルスカイェーダ(Carme Ruscalleda)のディレクションで、彼女の愛息ラウル・バラムが料理長を勤める。このカタルーニャ地方のサン・ポル・デ・マル村に生まれ育ったルスカイェーダは伝統料理をアヴァンギャルド精神でリニューアルするが、魚や肉に一見ミスマッチに思える季節のフルーツを調和させた料理もカタルーニャの自由を尊重する伝統の表れ。その創作料理には愛らしい食用の花がよくあしらわれている。天井にも金箔の花が咲いているようでダイニングチェアも花弁が開いたかの「Bloomy」(モローゾ社)が選択された。

夏にはテラス席&バーに利用される中庭の「ミモザ・ガーデン」(Mimosa Garden)はランドスケープ・アーキテクトのベス・フィゲラス(Beth Figueras)とのコラボレーションで、ミモザや数えきれない植物が緑の憩いの場を提供し、建物の構造に巧みに組み込まれた660m²のガーデンテラスに仕上がった。ルーフトップのテラスやプールと共に大都市の喧噪の中にいて東南アジアのリゾートのオアシス感をしばし追想できる。瞑想的な1000m²のデラックスなスパエリア。ダークな木を多用し、マラカイトグリーン(常磐色)のスクリーンがプールとハマム間を巧みに目隠ししている。カップル専用やオリエンタル調の布団をあしらった部屋など8つのトリートメントルームも揃う。

全98室のゲストルームはうち10室がスイート。明るい樫材のフローリングにオーダーメードのベージュのシンプルな幾何学パターンのカーペットが足元に優しい。飽きのこないクリーム色と白を基調に黒塗りの漆風のランプやバスルームをマークするイエローのガラスウォールがカラーアクセントを加味する。ワードロープは中国の伝統的漆器にインスパイアされたデザインという。バスルーム全室に使われているのがカウンターとバサンが一体化している洗面カウンターの「DESK」(アガペ社)と「アクサー・ウルキオラ」(ハンスグローエ社)の水栓類、重要なデザインエレメントとして登場する。32m²と最もコンパクトな「デラックス・ルーム」のバスルームはオープンなスタイルでウォークインのシャワーのみなので、ゆっくりお風呂に入りたいなら「デラックス・ブールバード・ルーム」以上のクラスになる。テラス付きの部屋では外を眺めながらお湯につかってリラックスできる。ウルキオラの「PEAR」シリーズ(アガペ社)に属し、エルゴノミックでマテリアル(CristalplantR)の特質を伝えるフォルムに開発されたフリースタンディングのバスタブがよく映える 。

「アクサー・ウルキオラ」のコレクションが初めてプレゼンテーションされたのもバルセロナだったそう。スリムなシルエット、クリアーなライン、オープンワークのグリップで洗面台用水栓には必要なら歯磨き用コップや石鹸置きをドッキングでき、2009年度のドイツの権威ある「レッドドット・デザインアワード」にも選ばれたプロダクトだ。2010年度の「エル・デコ インターナショナル デザイン アワード」日本部門でバス・バスルーム用品カテゴリーのベストプロダクトにも選出された。2005年のミラノサローネでアクサーがコミュニケーションの場であり、建築的な空間となるべき新しいバスルームの方向性を探ろうと「ウォータードリーム」プロジェクトを実施し、その際に招待したデザイナーの一人がパトリシア・ウルキオラ、その出会いがこのホテルの水回りを人間の手にしっくりと馴染み使いやすく心地よい水栓類やアクセサリーが生み出される契機となったのだった。

カルメ・ルスカイェーダの言葉「料理は芸術、コミュニケーション、文化なのです」を借りれば、洗練されたエクレクティズムのウルキオラのデザインも芸術、コミュニケーション、文化だとも言える。「マンダリン・オリエンタル・バルセロナ」はスペインが生んだ2人の個性的な女性のクリエーションがゲストの五感を限りなく刺激するに違いない。


風格あるファサード


モダンなアトリウム


エントランスのキャットウォーク


ロビーへのエントランス


ロビー


デラックス・ルーム


デラックス・ブールバード・ルーム


バルコニー付きデラックス・ブールバード・ルーム


マンダリン・テラス・ルーム



マンダリン・ジュニア・スイート


バルセロナ・スイート



テラス・スイート


ペントハウス・テラス


レストラン「ブラン」

ダイニングレストラン「モーメンツ」


ホテルのバー「バンカーズ・バー」


ミーティングルーム。


スパのトリートメントルーム



スパのリラクゼーションエリア


スパのインドアプール。


スパのハマム。

ミモザ・ガーデン




屋上のテラスからの眺め