デザイナーのためのヨーロッパホテルガイド 〜水まわり編〜 Vol.80

ザ・ドミニカン(ベルギー・ブリュッセル)

2011.11.14

The Dominican

Add: Rue Léopold / Leopoldstraat 9 1000 Brussels Belgium
Tel: +32 (0)2 203 08 08
Fax: +32 (0)2 203 08 07
URL: http://www.carlton.nl/dominican

中世にはドメニコ派修道院、1825年までナポレオンの宮廷画家の館でもあった建物。


エントランスではコラム内のショーケースに組み込まれたミニ暖炉の炎がゲストを歓迎。

ロビー。アーティスティックなムラノガラスのシャンデリアとアイボリーのレザー張りファニチャー。

ロビーラウンジとバーを繋ぐコーナー。背景がエントランスになっている。

「ラウンジバー」伝統的な世紀末風のカフェハウスと、スタイリッシュなラウンジのミックス空間。

  スパとブリュッセルは車でも電車でも2時間ぐらいの距離だ。ブリュッセルの中心街、王立モネ歌劇場のお隣さんと、オペラファンにはロケーションも申し分ないデザインホテルが「ザ・ドミニカン」だ。2007年にブリュッセルの本格的デザインホテル第1号としてデビューした。ここは15世紀の昔にドメニコ派の修道院があったところだ。そしてナポレオンの宮廷画家だったジャック・ルイ・ダヴィドの邸宅でもあったという歴史を持つ。オリジナルの歴史的ファサードの奥に、ハッセルトの建築事務所「Lens° Ass」の設計で現代の機能性と中世の修道院のスピリットを融合させたホテルが建設された。中央の中庭を囲むヴォールト天井の回廊も、建物の歴史の源を思い起こさせる。インテリアはアムステルダムのデザインコンビ「FG Stijl」(Colin Finnegan & Gerard Glintmeijer)が手掛けた。アムステルダムの「カレッジホテル」やウィーンの「Do&Co」に続いてのプロジェクトで、この後にもミュンヘンの「BMWワールド」や連載、コラムでも紹介したデュッセルドルフの「ハイアットリージェンシー」のプロジェクトを成功させた才腕クリエーターである。デザイナーはカールトンホテルグループ側からファニチャー、ビジュアルコミュニケーション、テーブルウェア、キャンドルの香り、スタッフのユニフォームまで、全く新しい感覚のトータルホスピタリティーを創造するよう自由に任せられた。中庭に面したレストラン「グランドラウンジ」がパブリックスペースのハイライトだが、ホテル全体のデザインハイライトは、ゴシック建築様式の“フォイル(葉文様)”やドメニコ派修道院のシンボルマークに通じるグラフィックパターンと、部屋のTVの映像である。部屋に入るとこちらが頼みもしないのに“ウェルカム!”とスイッチオンしているTV画面に“あーあ、またか”と一番先にリモコンを探してスイッチオフするのが通常なのだが、ここでは違っていた。美しい女性、美しい男性の顔が半透明のドミニカンの文様の向こうで静かに物思うイメージに中世の宗教音楽が神秘的にBGMで流れてくるという、全く予期していなかったビデオアートが旅人を迎えてくれた。夜中に電気を消して真っ暗な中にこのビデオだけ流していた。数分でまた最初のカットに戻りエンドレスに繰り返されるのだが、心が洗浄されるようで不思議と気持ちいい。いつのまにか眠りについていて、朝目が覚めて、ずっと眠っている間もビデオがオンになっていたのに気がついたのだった。



ホテルの心臓部にあたるレストラン「グランドラウンジ」。界隈の喧噪から逃れ、都会のオアシス的な中庭に面する。天井もとても高い。


表通りからは想像もできない静かな中庭。夏はオープンテラス席も人気。回廊が中世の修道院建築を偲ばせる。


一般ゲスト用の女性用化粧室の手洗い。つや消しと磨き上げの2パターンを組み合わせ、限りなくゴールドに輝くタイルに圧倒される。
デラックスのダブルルーム。客室は全部で150室。部屋のファニチャーもカスタムメードのオリジナルデザイン。シンボル的文様と同じく、ブラウンと草緑のカラーコンビネーションが、ベロアのベッドヘッドとランプシェードにも反復される。
デスクランプの脚や窓際のベンチのファブリックの刺繍パターンも凝っている。
鮮やかな草緑色のドミニカンのシンボル的文様がカーペットにも織り上げられる。
部屋のエントランス部分、鏡面の効果でバスルームの扉を開けるとバスルームが増殖して見える。
鏡のウォールエレメントにTVモニターがスマートにはめ込まれる。ゲストを迎えるビデオアートの映像と音楽が実に美しい。
バスルーム。洗面台とボウルをネロ・アソルートの黒い石で統一。水栓金具はハンスグローエ社。


アメニティのデザインも黒い石に映える白黒のみのシンプルさ。
草履スタイルの黒のタオル地のスリッパ。一見とても便利そうだが、実際は??
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