デザイナーのためのヨーロッパホテルガイド 〜水まわり編〜 Vol.85

アルコーナ・リビング・バッハ14

2013/11/01

arcona LIVING BACH14

Add: Thomaskirchhof 13/14 04109 Leipzig
Tel: +49 (0)341-49-6140
Fax: +49 (0)341-49-614100
E-mail: info@bach14.arcona.de
URL: http://bach14.arcona.de/

レセプション & ロビー

「アルコーナ・リビング・バッハ14」は、バッハの音楽を愛する人に特にお薦めのブティックホテル & ボーディングハウス(全52室)だ。バッハ像が立つトーマスキルヒホフ広場に面し、バッハ縁の聖トーマス教会の真向かいに2011年11月オープンした。バッハ像にいつも見守られている感じもする。バッハ資料館とバッハ博物館に隣接する歴史的ファサードの内側に、カジュアルで且つエレガントなホテルが隠れる。1590年のルネサンス時代の家屋、1887年の泡沫会社乱立時代の商館、21世紀のモダンな新築と各々に性格が異なる建築物が結合する。バッハ資料館のリニューアルでも評価されたフックスフーバー建築事務所(担当:ゲルト・イングルフ=ミュラー)が、荒廃していた歴史的建物を修復・保存・増改築する複雑なプロジェクトを担当し、900万ユーロが投資され、竣工まで2年かかった。

メインエントランスの重厚な木の扉も古い木彫が見事に修復され、この扉を開け商館を通り抜けると、昔は小さな中庭だったところにレセプション & ロビーが配されている。天井がガラス張りでウィンターガーデンの雰囲気もある。ショーキッチンのワインレストラン「ヴァインヴィルトシャフト」は、60を越える銘柄のワインを揃え、そのほとんどをグラスで飲めるコンセプトで人気だ。バッハもかなりのワイン好きだったとかで、バッハにみならってと言い訳して、つい色々試してみたくなる。ホテルのインテリアも音楽の父たるバッハへの敬意、バッハの音楽を感じることができるデザインがコンセプトとなっている。ベルリンのインテリアデザイン事務所、ゼーガー・ミュラーは宗教の違いや文化の違いを越えて響く、バッハの音楽をインスピレーションの源にした。教会音楽に最も重要な楽器のパイプオルガンから、レセプションやレストランの空間を強烈に印象付けるシャンデリアがデザインされた。ゴールドに輝くパイプ(スチール製)の照明オブジェクトからは光とともにサウンドも響いてきそうだ。パイプは部屋ではリビングエリアのペンダントライトにアレンジされている。

客室もバッハの楽曲のカテゴリーから、フーガ、カンタータ、モテット、パルティータと分類されている。オリーブ色、ラズベリー色、リラ色などが客室階を彩る。ルネサンス様式の棟はライプツィヒで最も古い住宅の一つで、とても貴重な建物だ。美しい模様が描かれた4世紀前の木の天井のスイートがあり魅力的なのだが、今回はバッハ像を見下ろせるフロントの部屋にしてみた。大晦日のモテットの後で少年合唱団がバッハ像前に集まって歌うので、それを部屋の窓から楽しめるのはすごい贅沢ではと、部屋に感謝した。ベッドヘッドの上部はバッハのカンタータ「全地よ、神に向かいて歓呼せよ」の楽譜が壁画のようにアレンジされ、枕元からもバッハの音楽が聴こえてきそうだ。バスルームはなぜかバッハのヴァイオリン・ソナタを思い出させる空間だった。歯磨き用コップがガラスでなく磁器製なのも細かい配慮だった。

さて、ホテルの名前の「バッハ14」はホテルのアドレスの番地が13/14なのもあるが、14という数に何か別の謎がありそうな気がしないだろうか?バロック時代には数字に象徴的な意味を与える知的遊戯が好まれ、バッハも自分の名前を象徴する数字を意識していたという。Aは1、Bは2とアルファベットを数字に置き換える。するとバッハの綴りはB=2、A=1、C=3、H=8、足し算すると2+1+3+8=14になるのである。

ワインレストラン「ヴァインヴィルトシャフト」

ライブラリー・ラウンジ

各階毎にテーマカラー

最上階、屋根裏のすみれ色のフロア。聖トーマス教会を臨む507号室

バスルーム

窓の向こうには聖トーマス教会

大晦日にバッハに感謝し、バッハ像の前で天使の声を響かせる少年合唱団。写真はホテルの部屋の窓から見下ろした様子

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