デザイナーのためのヨーロッパホテルガイド 〜水まわり編〜 Vol.85

ダス・アンデレ・ハウス8

2013/11/01

DAS ANDERE HAUS VIII,

Add: Erich-Müller-Straße 12 10317 Berlin
Tel: 0049-(0)30-55440331
Fax: 0049-(0)30-55153999
E-mail: info@dasanderehaus8.de
URL: http://www.dasanderehaus8.de

エントランスフロアには、各監房にどの街からのゲストが何日まで滞在かを告知。

ライプツィヒからの帰り、ベルリンに寄り道して泊まったのが、建物の歴史がドイツでも他にはどこにもないユニークな宿。ルンメルスブルク湖に面したトレンディな湖畔の宿といいたいところだが、冗談ではなく、この建物はかつて刑務所だったのだ。「ダス・アンデレ・ハウス(=ザ・アナザー・ハウス)VIII」はこの煉瓦建築が元々「ハウスVIII」と呼ばれていたのに由来する。建物はヘルマン・ブランケンシュタインの設計で、1879年に建てられた。当時は“労働の家”という浮浪者や元受刑者、問題児の社会復帰施設内の8号館、男子の刑罰所兼拘置所として利用されていた。今では施設の古い煉瓦の建物がリフォームされ、「ベルリンキャンパス」というウォーターフロントの住宅街に変貌しているが、ナチスの時代には、売春婦も投獄され、東独時代には、施設全体がルンメルスブルク刑務所であった。ハウスVIIIは病人棟の役目を負い、ベルリンの壁崩壊の1989年には、旧東独のホーネッカー議長もここに一時収容されていたのだ。悲痛の歴史的運命を背負った建築を、心理学者フォン・シェンク夫妻が丸2年を費やして、自分達の住まいとセラピー室+ペンションへとリノベーションを完成させた。オルデンブルクからベルリン旅行した際にこの建物を発見し、保存状態は最悪だったにもかかわらず一目惚れして購入してしまったとか。旅人は、ドイツの激動の現代史を枕にする。歴史関連の本もフロアの本棚に並ぶが、ゲストに歴史勉強を無理強いする雰囲気などは微塵もない。

オリジナルの監房を改装したゲストルームが5室のみ、インテリアのテーマカラーが部屋毎に変わるので、その色がルームナンバーの代わりにルームカラーとなり、部屋が区別される。窓は大きく開かれ鉄格子も消えた。8㎡の監房のサイズのまま、部屋は質素にまとめられ、無線LANはあるけど、余計なTVなどはない。部屋だけでなく、フロアでも共用キッチンでも、コンスタンティン・グルチッチの掛けても置いてもどこでも便利に使える照明“メイデイ”の機能性が大発揮されているのもインテリアの特徴だ。バスルームはセレクトされたプロダクトがデザインホテルに負けないクオリティーで、ステンレス製の歯磨き用カップにちょっと刑務所を連想したりもした。朝起きるとオレンジジュース、コーヒー、紅茶、ピーナッツ入りスナックが用意されて、ダブルで68ユーロという料金は、ベルリンでもなかなか見つからない。

ブレックファストルームのキッチン

フロアの読書コーナー

「茶色の監房」のダブルルーム

バスルーム

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