横浜市 SHUHALLY

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2009.11.30
  • 小間。LEDが内蔵された畳と背面より照らされるガラス壁。人工光を現代的な要素として積極的に取り入れた「しつらえ」。
  • 玄関。壁面から天井へ竹が連続し、飴色の光が演出する。

SHUHALLY

若い茶人のための茶室である。

茶道の根本とは、自然体のままで季節感を大切にし、「もてなし」と「しつらえ」を基本とした生活文化にある。四季を感じられる日本の気候風土に根ざした伝統文化であり、「衣食住」「立居振舞」を学ぶことができる文化でありながら、敷居が高いと思われがちな「茶」の文化を若い世代にも触れてもらいたいと始めたのが、『SHUHALLY』というプロジェクトである。

プロジェクトのコンセプトである『SHUHALLY』とは、千利休が茶道の心得として説いたといわれる「守・破・離」に由来する。基本を守り、創意工夫を加え、独自のスタイルを確立するという、物事を習得する過程での精神である。 「茶」の文化を通して、日本の生活文化を見直し、現代のライフスタイルに合わせた再生・提案をしていくことが『SHUHALLY』の目的であり、そのひとつのかたちがこの茶室、『文彩庵』である。

場所は、横浜市・関内。駅徒歩3分という都市の喧噪の中に存在するオフィス住居併用ビルの5階にある。また、この茶室の区画はもともと賃貸住宅として計画されていたため、階高が低く、大きなコンクリートの梁型をもつスケルトンであった。その環境の中に、既存の構造体に影響されない自由な空間を創り出すこと、そして「市中の山居」と呼ばれる茶室の静寂さを生み出すことが求められた。

玄関から続く各部屋は、玄関の壁面から連続する一繋がりの天井をもつ空間であり、必要に応じて建具で仕切る構成とした。外部空間の要素を室内に取り入れることを意図して、素材は「竹」とした。その結果、連続する天井面とそこから漏れる光により、竹林のような静けさと伸びやかな空間となっている。

広間、小間と呼ばれる2つの間は、それぞれ異なったアプローチで光と素材を取り入れた。広間は自然光を重視し、茶室で伝統的に使用される「杉」「竹」といった自然素材で構成、小間は人工光を積極的に取り入れ「ガラス」「ステンレス」という現代を代表する人工素材で構成する空間とした。
建築はその時代の技術、環境によって変化していくものであり、中でも茶室は光とそれにより生み出される陰影や、様々な対象の肌理が作り出す情景によって成立する空間である。時代と共に移り変わっていく「光」「素材」の扱い方を2つの空間で表現し、共存させることで互いに補完し合う関係を創り出すことを目指した。

この空間を訪れる人々にとって「SHUHALLY」の精神を養う場所となることを期待している。

  • 芝の築山のある外露地。
  • 飛石と苔の内露地。
  • 水屋
  • 左側が広間、右が待合。続き間としても使用できる。雪見障子から築山が望める。
  • 広間。襖は横浜をイメージし、波の文様と櫂型の引手。
  • 小間。床の間から露地をみる。室内は千利休が好んだといわれる黒で統一。床は畳(黒)、壁はブラックステンレスとガラス、天井はブラックステンレス。
  • 便所。存在感を出しすぎない手洗器。

設計事務所

MINIMA

住所 東京都目黒区中町2-48-7-216
TEL 03-3715-3696
e-mail hello@minima.jp
代表者 髙橋 信悟
担当者 髙橋 信悟

建物概要

名称 SHUHALLY
所在地 神奈川県横浜市
施主(事業主体) (株)新光
施工 前田建設工業(株)
工事期間 2009年4月〜2009年6月
建築用途 その他