デザイナーのためのヨーロッパホテルガイド 〜水まわり編〜 Vol.64

ホテル・スチューレプラン( スウェーデン・ストックホルム )

2009.03.18

Hotel Stureplan

Add: Birger Jarlsgatan 24, Box 559 55, 102 16 Stockholm, Sweden
Tel: +46 8 440 66 00
Fax: +46 8 440 66 11
E-mail:
concierge@hotelstureplan.se
URL:
www.hotelstureplan.se

ビリエル・ヤール通り24番地。19世紀末の建築はエントランス部のファサードも凝ったデザイン。

通りから入ってすぐ左の扉がロビーに通じる。

エントランスホール。

エレベーターも19世紀末の装飾エレメントが美しい。

階段室にはフローラルなステンドグラスの窓。

エレベーター前から左手にレセプションへの扉。

アンティークなタッチのレセプションカウンター。

ストックホルムへの旅、前回のデザインホテルの次はちょっと趣を変えてブティックホテルに部屋を移した。ホテルから目と鼻の先に位置し、レストランやナイトスポット、オシャレな店が並び賑わう広場「スチューレプラン」の名前をとって2008年5月にオープンしたばかりの新しいホテルだ。まさにスモール&ラグジュアリー。躍動するメトロポールの吐息を感じながらもホテル・スチューレプランではひっそりと静かな安らぎの時を過ごせるだろう。 1899年に建設された19世紀末の建築。歴史を木肌に感じさせる重厚な扉を開ける。ホテルのロビーもロビー然とせず個人の邸宅のサロンにお呼ばれしたかの気分になってくる。古いエレベーターや階段室のステンドグラスをあしらった窓など美しいディティールも残された。ホテルのインテリアはスウェーデンの職人の手になる家具造り伝統を大切に受け継ぐガルボ・インテリア社が担当。トレンドを追わずタイムレスなエレガンスを追求している。18世紀のグスタヴ三世の時代に生まれたグスタビアンスク(グスタヴ・スタイル)と呼ばれる新古典主義のスタイルにシンプルでコンテンポラリーなテイストが加味された。オリジナルデザインの木の家具は暖かみが違い、長く使えば使うほどもっと深みが出てくるのだろう。壁の塗装には英国のファロー&ボールの塗料を使用。最高級の天然顔料で今も伝統的な製法で作られるこだわりの塗料である。 全102室はそのプロポーションやキャラクターが異なり同じインテリアは二つとなく各々に個性を持つ。部屋の大半はクラシックなインテリアで、カテゴリーはスモール、メディウム、ラージ、Xラージとサイズで分類されている。ストックホルムの街を見下ろせるロフトスタイルの屋根裏部屋はシンプルでコンテンポラリーなデザインに仕上げられた。 今回はこのホテルで最もリーズナブルな“キャビンルーム”(12室)を予約していた。ロビー脇の階段を降りて廊下にも古いトランクが置いてあったり、帆船での航海に出る気分がしないでもない。泊まったのは101号室でデザインはヨットからインスピレーションを得ている。真鍮の望遠鏡のようなライトからもの掛けとして機能する梯子までアイデアに満ちたインテリアで、小さい部屋でもその小ささを意識させない。クッションや可愛いランプシェードに使われているベージュに深紅のストライプが入った粗いリネンはラルフ・ローレンのテキスタイル、船のロープを連想させる。部屋に用意されたコーヒーセットにとても惹かれた。コーヒーの味の方は覚えてないのだが、ペリカン・ルージュ(赤いペリカン)というブランド名もペリカンのマークが付いたカップもドイツでは一度もお目にかかったことがない。それにしてもどうしてコーヒーがペリカンなのか、想像を巡らすと寝付けなくなりそうだ。余計な色もデコレーションも付加せずクリアーに構成されたバスルームで、一際存在感を放つのがアレッシィとフィンランドのメーカーORASとのコラボレーションによる水栓「dOt」だった。オランダの建築家ヴィール・アレッツのデザインで日本の風呂文化に影響を受けているとか。キャビンルームは地下にあるので部屋にもバスルームにも窓がない。子供の頃に戦争で体験した防空壕での日々が原因で地下に降りることができず地下鉄にも乗れないというドイツ人の知り合いがいるのだが、そういう地下恐怖症の方はキャビンルームを避けて地上の窓のある部屋へどうぞ。 “あなたのために”という名のホテルの北イタリア料理レストラン「PerLei」のバーカウンターに朝食ビュッフェが用意される。濃紺やワインレッドのベルベットのふかふかの椅子でアールデコ調のラウンジ空間だ。そして世界初の「ボランジェ・シャンパーニュ・バー」でシャンパーニュのグラスをダニエル・クレイグの渋さで傾けてみたい。ボランジェはジェームズ・ボンドが愛する『007』のシャンパーニュ。バーの2階から1階のくり抜かれた天井を突き抜けてシャンデリアが輝く。次の『007』ではここでボンドがシャンパーニュをオーダーする、なんてシーンを勝手に思い描くのだった。


ロビーはサロンの雰囲気。


草のグリーンが映えるユニークなテーブルランプ。

シャンデリアはスウェーデン製。

航海を示唆する絵画に誘われ、ロビー脇の階段を降りるとキャビンルームのフロア。

地下のキャビンルームへのフロア。

古いトランクも昔の船旅を偲ばせる。