ホテル四季の蔵 別邸COCORO

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2009.01.05
  • 垂直の間、囲炉裏より水平の間、濡れ縁を望む
  • プライベートガーデン側から濡れ縁へのアプローチ

古民家軸組リサイクルによって”今”と”ここ”をつくる

地方では老朽化や廃墟化によって解体される古民家が後を絶たない。そのような世の中から見捨てられていくものに付加価値を与え、普通の新築でつくるよりもずっと魅力的な建物に蘇らせる——これは非常に爽快な試みである。

老朽化による解体の際、広大な里山の土地に移築されることとなった古民家。重要文化財でなくとも、その伝統工法による軸組が持つ、現代の在来工法にはない魅力。クライアントの要望は、その古民家の軸組を用いて、都会の喧騒から逃れ、非日常的なひと時が過ごせる、年配者の隠れ家的な宿泊施設をつくりたいというものだった。

所謂”古民家再生調”でもなければ、消費速度の速い現代デザインに偏り過ぎるのでもない方法で非日常性をどうつくるか。

まず、既存の軸組を森や洞窟のような自然環境に見立て、その中から特徴的なエリアを見出しては固有の性格と機能を与えた。そんな、子供の頃につくった秘密基地のような感覚で計画されたどこかなつかしいプランに対して、既存の軸組と対比的でありながらも相互補完的である新しい造作要素を加えていく。こうして、今と昔が程よくブレンドされた、過去の延長上にある”今”が感じられる空間がデザインされた。さらに、実際に訪れた人だけが堪能できるよう、手触りや足触りを意識した仕上げや材料、ディテールの使い分けを随所にほどこし、”ここ”が体感できる空間づくりも配慮されている。

こうして名もなき古民家は1棟貸しの個性的なホテルとして蘇ったが、”今”と”ここ”を感じる空間が非日常性というテーマに対する回答となったのは、とても現代的であり興味深いと思っている。

  • 正面玄関:玄関扉はアンティーク扉を加工したもの。
  • 水平の間:風景と自然光に共鳴する竹フローリング。
  • 水平の間:ロクタ紙、竹フローリング、タモルーバーといった、類似色ながらも異なる素材感による構成は光の当たり方によって様々な表情をつくる。
  • 垂直の間:ちょうな掛けフローリングと、地場産沢田石(廃材)による囲炉裏間の対比。囲炉裏は無垢の石ブロックを積み上げている。
  • 垂直の間
  • 垂直の間:ウォルナット造作に対する、裏の石垣を取り込むFIX窓によるキッチンパネル、そして光を反射する人造大理石カウンターの構成。背面の大引戸は特殊プラスター仕上げで玄関を仕切る。
  • 石の間(洗面所):空間と一体化したセラミックタイルによる洗面カウンターとウォルナット造作、そしてケイカル板素地天井の生み出すシックな雰囲気によってカウンター洗面器が引き立てられている。
  • 石の間(洗面所)
  • 石の間(浴室):セラミックタイルとケイカル板素地によるシックな雰囲気によって、日中の明るい風景が効果的に取りこまれている。自湯口は地場産沢田石を加工したオリジナル。
  • 浮の間:ブリッジより小屋裏に浮かぶリラクゼーションエリアを見る。ソファベッドの採用により寝室としても機能。
  • 穴蔵の間:ブリッジより小屋裏に埋め込まれた寝室エリアを見る。
  • 穴蔵の間:小屋裏の骨組みを縫ってベッドが配置されている。

設計事務所

きみづかアーキテクツ/一級建築士事務所

住所 〒182-0003 東京都調布市若葉町
3-12-3-404
TEL 03-6279-6931
URL www.kimizuka-architects.net
代表者 君塚 健太郎
担当者 君塚 健太郎

建物概要

名称 ホテル四季の蔵 別邸COCORO
所在地 静岡県賀茂郡
施主(事業主体) 有限会社 ジオマーク
設計(監理) 内外装: きみづかアーキテクツ/一級建築士事務所
工事期間 2008年4月12日〜2008年7月19日
建築用途 ホテル(1棟貸し)