楢山の家R
大掛かりな改修であり、基礎以外はほどんどの部分に手を加えたので原型がないが、実はこの建物は一本の既存柱を軸に展開している。大空間はとれなかったが、その代わりに陰と陽がゆるやかにつながる光の分布は落ち着きがあって良い。また、寄せられなかった柱を利用して、リビングとダイニングをファイヤープレイスで隔てている。室内の静寂さは紛れもなく断熱材がもたらす効用であり、サンルームやワインセラーも断熱区画して、一つの家に温度の違う空間を構成することはとても豊かなことである。グレイッシュなリビングからの流れをユーティリティやバスルームにもつなげ、水まわりを孤立させないようにしている。シャワーや洗面ボウルなどは使い勝手を重視し、収納も含め余裕のある空間にすることで機能性を向上している。