千葉県 bollard

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2019.10.01
  • 東側外観。前面道路拡幅にともない建て替えられた。斜線制限などから割り出されたボリュームに、近隣の緑や道路への視線の抜けを楽しむ出窓を設けている。
  • 玄関を見る。スリット状の吹き抜けから光が洩れている。

風景をつなぎとめる

前面道路の拡幅にともない建て替えられた「bollard」*は、建主と母と娘、3人家族のための住宅である。敷地手前で緩くカーブするこの道は、直近で国道につながり生活道路と呼ぶには交通量が多く、学校の登下校時には多くの生徒たちが行き交う。このような周辺環境に対して、硬い壁で視線をはね返すように内部を守るという選択肢もあったのかもしれない。しかし、不特定多数の人々の交通と視線に晒される環境であっても、やはりここは住宅地である。考えるべきは硬い壁ではなく生活の場を柔らかく、確かに包み込む住宅のあり方であろう。拡幅される道路によって削られた50㎡弱の敷地に、建ぺい率を使いきり、高さ制限や斜線、日影規制をかいくぐるほぼ最大のボリュームを建ちあげている。歪んだ5角形平面は隣地との正対関係を避け、わずかではあるが3つの小さな庭を生み出した。それを立ち上げた頂部は4面の屋根で構成され、全体としてマッスというよりは、紙ふうせんのように、薄いエンベロープを膨らまして内部が外へ押し出されるような感覚を意識している。小さな吹き抜けによって家のどこにいても、このエンベロープに包まれていることが感じられ、延べ床面積25坪とは思えない大きさと広がりがある。膨らみの圧力で内部から飛び出したような大小の出窓は、敷地内の小さな庭、隣家の庭木、向かいにある建主の母校の正門、道路の緩くカーブした先、校庭のヒマラヤスギの大木等々に向けられている。内部からの視線はこの出窓を通して、周囲の近景、中景、遠景へと自然に導かれ、日々の風景が家族の記憶としてつなぎとめられていく。一方、このガルバリウム鋼板の多面体は、道行く人々の視線を真正面から受けることなく、それを微妙にいなしながら絡め取っていく。それはまるで、船がbollardに係留されるように、とりとめのない街の姿が、固有の風景として人々の記憶につなぎとめられていくようである。 洗面室やキッチンの水栓や洗面器は実直で簡素なインテリアとの相性を考え、オーソドックスでありながら、姿の美しいセラトレーディングの器具を採用した。

*船舶を係留するために桟橋や埠頭に設けられる係船柱

  • 玄関からの見上げ。小さな吹き抜けを通して1、2、3階の天井がリズミカルな表情を見せる。
  • 1階洗面室から浴室、その奥の母のスペースを見通す。浴室は通り抜けができるプラン。右上の吹き抜けは2階キッチンとつながっている。
  • 2階キッチンとリビングダイニングは独立壁で仕切られ、その周りを回遊できる
  • キッチンの独立壁の開口からリビングダイニングの開口を通して向かいの校庭の緑を見る。水栓はVOLAを採用。
  • リビングダイニングから階段室を見る。階段の先は3階バルコニー。
  • 3階から階段方向を見返す。3階は多面体の屋根の下のワンルーム。二つのボックスは寝室の間仕切り兼収納。
  • 3階バルコニー。近隣の花火大会を楽しむことができる。

設計事務所

駒田建築設計事務所

住所 〒134-0088 東京都江戸川区西葛西7-29-10 西葛西APARTMENTS-2 #201
TEL 03-5679-1045
FAX 03-5679-1046
代表者様 駒田 剛司・駒田 由香
ご担当者様 駒田 剛司
URL http://www.komada-archi.info

建物概要

名称 bollard
所在地 千葉県市川市
施主 個人
統括設計 駒田建築設計事務所
施工 山庄建設
工事期間 2017年12月~2018年7月
建築用途 住宅