蒲田の家
平成の大火に見舞われ、長い月日を経て復興を果たした築150年の古民家の改修。
全体のテーマであった「陰翳礼讃」を表現すべく、障子や格子窓からの光と陰の造形や日本の色にこだわり、統一感を出せるよう設計。
この古民家を再生するにあたり、日本人はもとより世界各国から訪れた人々に日本の伝統建築、伝統工藝の良さを感じてもらえるよう随所で表現した。
日本の古民家の伝統美を表現する玄関土間。
奥には再生された京絵師による襖絵や書院など、趣のある日本の間へと続く。自然光が入りこむよう新たに窓を設け、幻想的な空間となるように表現した。
時とともに移ろう自然光が玄関土間の三和土に多様な表情を与える。
夜は格子戸の背面に仕込まれた照明からの灯りが土間を映し出すなど、昼夜の陰影も表現した。
ダイニングテーブルはカリンの天板を使用し製作。
この古民家で一部解体した際の地松の梁材を脚として再生させた。歴史を継承したテーブルにCassinaのCABchairを合わせた。床は21㎜厚の無垢のオーク材を使用。歴史ある建物に合わせ古材色を施した。漆黒のパネルが漆喰塗りの和の空間を引き立たせている、英国製壁掛けガス暖炉。
伝統の和の空間にふさわしい炎の演出となった。