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2021.01.05
  • 2Fのパーティースペースからルーフテラスへとつながる外階段を介して異なる2つのボリュームの外装仕上げの縞模様をそれぞれタテとヨコで変えている。コンクリート打放しの縞模様は、型枠の内側に粗目の角材を不均等に打ち付け、型枠解体後凸面になった部分を研ぎ出すことにより実現した。
  • 手摺壁はステンレスフラットバーを様々な幅にレーザーカットしたものを布のように編み込み、表面を目荒らしした上で、フッ素樹脂吹付塗装。その後、更にその表面をブラシ等で荒らして完成させた。曲面のかたちは、バルコニーを最大化すべく天空率の限界で決められた。

別邸、日常と非日常の間

都内に建つ別邸である。お施主様からの要望は唯一「自宅にないもの、足りないものをモダンな空間で構成して欲しい。」ということであった。この建物は一般的な意味での住宅=日常とも、別荘=非日常とも異なり、それは日常と非日常の間にある住宅であり、日常を拡張する、あるいは新鮮に見せる、そういった効果を狙う必要があると考えた。一般的な別荘であれば、非日常的な周辺環境に建築を効果的に開くだけでそれは可能になるが、敷地が限られた都心であるが故、形態操作によって庭や自然光と関わりながら非日常を生み出す効果は限定的だと考えた。そこで、建物の外観からインテリア、家具、ファブリックまでをボーダーレス、かつ等価に扱いデザインすることで新たな環境表現を試みることにした。日頃から世界中を旅し、上質なものや空間に触れているお施主様は、建築やインテリアに対する造詣が深く、その要求のレベルは非常に高い。その要求に応えるため、インテリアコーディネーターやテキスタイルデザイナー、照明デザイナーに頼ることなく、空間を構成する全てを私一人で緻密にデザインすることにした。水栓等衛生器具も、その空間を構成する重要なアイテムのひとつと考え、場所ごとに慎重に選定した。形態と多用される素材や仕上げ、エクステリアとインテリアを等価に扱い、そこで動く人や自然光とのインタラクティブな関係の中で、無数のシーンを体験させることで、日常でありながら終わることのない非日常を建築で成立させることができた。

  • 玄関ポーチにある引戸は焼付塗装したステンレスフラットバーを布のように編み込んでつくった。
  • 玄関ドアの表面はハードサイプレス羽目板を連続なぐり仕上げにして、1枚の無垢板のように見せている。ハンドルはφ35のステンレス丸鋼を削り出してつくった特注品。
  • シューズクロークはホワイトオークを無塗装風に仕上げた。方立を前景化しつつ上枠を隠し、取手部分を彫り込み装飾を施した。
  • ガレージの天井は杉柾型枠浮造りコンクリート打放し、床はコンクリート研ぎ出し、壁は不燃杉羽目板を紫外線暴露によって古木風に仕上げた特注品。建具やエアコンボックスを壁面化して、ラウンジをショーケースのように見せている。
  • ガレージ奥にあるラウンジ。ブラックサブウェイタイルを背景に、ステンレスバイブレーション仕上げのキッチンカウンターを据えた。キッチン混合水栓はガレージ空間に馴染むモダンな形状のセラトレーディングのLIVELLOシリーズ(KW0231103S-700)を採用。
  • 2Fのパーティースペース。
    対面する邸宅の庭を借景として切り取る大開口は、障子の見付僅か35㎜の特注スレンレスサッシ。金属のような表情のカーテンが左官壁と呼応する。中央にあるセラミック製特注キッチンカウンターには蓋の下に水栓やシンク、鉄板焼き用のグリドルが格納されている。
  • モラート仕上げによる壁天井、特注タイル、セラミック、ラスティックオーク、クォーツストーン、 ブロンズの特注照明など、様々な素材、仕上げを混在させつつ破綻なく調和させた。色気のあるキッチン空間に女性的な丸みを帯びたセラトレーディングのキッチン混合水栓、SINシリーズ(KW0261002R)がよく似合う。
  • トップライトからの自然光が、ポーターズペイントと共に試行錯誤しながら開発したオリジナル左官仕上げの壁の肌理や、ソファクッションの生地の素材感を浮かび上がらせる。
  • カウンター天板にはセラミックタイル、床には天然大理石ビアンコカララ、壁には同じくビアンコカララのモザイクボーダータイルを採用。全て白を基調としているが故に、その僅かな違いが際立つ。来客用パウダールームとして使用できるようにスツールを配置。
  • クローゼットのガラス扉にはフィルムを貼り、収納された服を適度に遮蔽しつつ、クローゼット内部を発光させることで部屋全体を包み込む照明にもなっている。トップライトからの自然光が、天井のドームに反射して光のサークルをつくる。スツールの差し色が空間のアクセントとなっている。
  • クローゼットスペース内に設けられた書斎とデイベッド。キャスター付のチェアは背中の表情で選んだ。
  • 洗面室、浴室はグレーの天然石調タイル仕上げとガラスで視覚的に一体化。セラトレーディングの洗面混合水栓(KW1192034T)などクロムめっきの各衛生器具と真っ白なクォーツストーン天板による極めてモダンな空間に、装飾的な特注キャビネットやスツールを対照的に混在させた。
  • 漆喰壁やソファがトップライトからの自然光を効果的に映し出す。黒いモールディングや格子が各室を互いにショーケースのように見せる。中央にある卓球台は弊社デザインによる特注品。
  • ワインカーブ。レギュラー、マグナム、ジェロボアム等、異なるサイズのワインボトル約2000本を合理的に収納できるマトリクスになっている。ステンレス棚と帯状の照明によるサイバーな雰囲気に、クラシカルなイタリア製磁器質タイルを床に用いて、ここでも対極的な表現をギリギリのところで調和させている。

設計事務所

有限会社 ラブアーキテクチャー一級建築士事務所

住所 〒156-0051 東京都世田谷区宮坂2-20-14
TEL 03-5844-6830
FAX 03-5844-6831
代表者様 浅利 幸男
ご担当者様 浅利 幸男
URL http://www.lovearchitecture.co.jp/

建物概要

名称 都心の別邸
所在地 東京都港区
施主 個人
統括設計 有限会社 ラブアーキテクチャー 一級建築士事務所 浅利 幸男
施工 株式会社 前澤工務店 (施工協力:株式会社 佐藤秀)
工事期間 2018年12月~2020年7月
建築用途 別荘、ゲストハウス