デザイナーのためのヨーロッパホテルガイド 〜水まわり編〜 Vol.96

ザ・ウェスティン・ハンブルク(ドイツ・ハンブルク)

2017/03/01

The Westen Hamburg

Add:Platz der Deutschen Einheit 2, 20457 Hamburg, Germany
Tel:+49 40 / 8000 100
E-Mail:info.TheWestinHamburg@Westin.com URL:http://www.westinhamburg.com

ホテルのあるハンブルクの新しいランドマーク「エルプフィルハーモニー」。

今年の1月に、ガウク大統領やメルケル首相も参席して、グランドオープニングを祝ったばかりのエルプフィルハーモニー・ハンブルク。エルベ川の水上に誕生したこのスペクタクルなコンサートホールは、建築(ヘルツォーク & ド・ムーロン)も音響設計(豊田泰久)も奇跡的と絶賛される。旧埠頭倉庫の煉瓦造りのインダストリー建築を土台に、音楽のためのガラスのカテドラル(高さ110m)が空に向け大きく波立つ。このハンブルクの新しいランドマークは、そこに寝泊まりできるというのも他のコンサートホール施設ではありえないことだ。エルプフィルハーモニーに一足先立ってホテル「ザ・ウェスティン・ハンブルク」は、昨年11月にオープンした。ハンブルク市の公共建築をホテル会社が20年契約でリーシングという形も珍しいだろう。つまり実際には、ホテルのインテリアも市の所有だということだ。建築の南東部分がホテル(全244室)になっている。

エルプフィルハーモニーは、欧州最大のウォーターフロント再開発事業であるハーフェンシティの西の先端に君臨する。ファサードのデジタルアートもエキサイティングなエルプフィルハーモニーへのエントランス同様に、ホテルへのエントランスも建物東側のドイツ統一広場に面する。8Fに位置するホテルのレセプションロビーまで、ホテル客専用の直通エレベーターが利用できる。荷物を部屋に置いたら、是非ともまた下のエントランスに戻り、今度は一般客が利用するルートで改めて8Fのロビーに入ってみよう。到着先が見えず、未来へのタイムトンネルのような「チューブ」と呼ばれるエスカレーターで、地上37mの8Fの「プラザ」に出る。20世紀の倉庫の屋上と、21世紀のガラス建築との間に、ダイナミックに形成された公共のプラットフォームだ。他のどこでも経験できないハンブルクの眺めを楽しみながら、ぐるりと一周できるパノラマウォークも観光客には大人気。ホテルロビーはガラスウォールで、視覚的にオープンにプラザと繋がる。

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インテリアは、大手ホテルチェーンの数々のプロジェクトをこなしてきたベルリンを拠点するタッシロ・ボスト(ボストグループ)と、ウェスティン・グローバル・デザインチームとのコラボーレーション。エルプフィルハーモニーは政治スキャンダルにも巻き込まれ、10年がかりでやっと完成した紆余曲折のプロジェクトで、ホテルのデザインも基本的には8年前にほとんど決まっていたのだった。しかしせっかくデザインしたスイートは建築デザインの変更があり、突然空間に支柱が出現し、またやり直しという苦労もあったと聞く。トレンディな要素や、時代精神を強く表現する要素はできるだけ排除して“ピュア”と“ハーモニー”をキーワードにデザインされた。このホテルの主役は窓やファサードガラスからの眺め。インテリアはその眺めを妨げることがない一歩も二歩も下がった控えめなデザインなので、ホテルのインテリアにも建築に匹敵する先鋭なデザインを期待すると、物足りなくちょっとがっかりするかもしれない。「インテリアは世界文化遺産にも指定されている歴史的な美しい倉庫街や、新しいハーフェンシティにエルベ川を走るクルーズ船、この唯一の周辺環境への敬意の表れでもあります。」とデザイナーは言う。

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インテリアは、大手ホテルチェーンの数々のプロジェクトをこなしてきたベルリンを拠点とする​タッシロ・ボスト(ボストグループ)と、ウェスティン・グローバル・デザインチームとのコラボーレーション。エルプフィルハーモニーは政治スキャンダルにも巻き込まれ、10年がかりでやっと完成した紆余曲折のプロジェクトで、ホテルのデザインも基本的には8年前にほとんど決まっていたのだった。しかしせっかくデザインしたスイートは建築デザインの変更があり、突然空間に支柱が出現し、またやり直しという苦労もあったと聞く。トレンディな要素や、時代精神を強く表現する要素はできるだけ排除して“ピュア”と“ハーモニー”をキーワードにデザインされた。このホテルの主役は窓やファサードガラスからの眺め。インテリアはその眺めを妨げることがない一歩も二歩も下がった控えめなデザインなので、ホテルのインテリアにも建築に匹敵する先鋭なデザインを期待すると、物足りなくちょっとがっかりするかもしれない。「インテリアは世界文化遺産にも指定されている歴史的な美しい倉庫街や、新しいハーフェンシティにエルベ川を走るクルーズ船、この唯一の周辺環境への敬意の表れでもあります。」とデザイナーは言う。

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ホテルのロビーから続くバー「ザ・ブリッジ」(The Bridge)では、シャープな建物のエッジに位置する“キャプテンテーブル”と呼ばれるコーナーが最も眺めがいい。このレベルはクルーズ船やコンテナ船のブリッジと同じ高さで、船長の視線を追体験できるのだ。レストラン「ザ・サフラン」(The Safran) は、嘗てコーヒー、紅茶、タバコを貯蔵していた倉庫内7Fにできた。インテリアも名前が示唆するように、様々な香辛料や香草からイメージされた色彩やマテリアル感に満ちる。オリジナルデザインの照明には漁師が使っていたオマール海老捕獲用の籠にインスピレーションを受けたものもある。空間を巧くセパレートする彫刻的なコラムは錆びを帯びたような表面で、ハンブルクの港の船やクレーンの鉄鋼のマテリアルを連想させる。レストランからもプールからも土台となる倉庫の小さな四角い窓は、港のワンシーンをモチーフにした写真を額に入れた作品のようでもある。

客室には様々なタイプのスイートが39室あり、スイートの数が多いのも特徴だ。今回はスイートの中で最もコンパクトな“エルプフィルハーモニー・スイート”(46㎡)を予約した。ハーフェンシティから市街までの景色が広がる正面ファサード側の部屋。特にハンブルクで生まれ育ったヘニングさんには、ハンブルク人にとって象徴的存在である聖ミヒャエル教会を見下ろせるのが感動的とのことだった。最先端テクノロジーを駆使して実現可能になったリズミカル & メロディアスな曲面ガラスのファサードが、まさに自分の部屋の天井から床までのパノラマウインドウとなる。部屋からの眺めと自分の手で触れるガラスのファサードの美しさ。ガラス面のドットパターンは、直射日光の量を調整する機能がある。小さな楕円窓は開けることができ、カモメの鳴き声や汽笛の音が時折かすかに部屋に入ってくる。インテリアは水、空気、風、土、砂といったエレメントからイメージを膨らませ、くくり付け什器は「ストラクチュアと色彩が川水にさらされた木のタッチを醸し出すように」木の表面加工を開発したという。静謐でナチュラルなトーンにまとまり、波の造形もディテールに見られる。

デザイナーのボストは「バスルームのデザインがホテルの部屋の良し悪しを決定する」と断言していた。バスルームはバスタブからの眺めがまた素晴らしい。外から見られることはないので、カーテンを引く必要もなく、露天風呂気分で夜景を満喫できる。

エルプフィルハーモニーでのコンサート&ホテル宿泊、音楽ファンには一度だけでもいいから経験したい、忘れられない1日になるだろう。ただしこれを実現するには。1つの難関を突破しないといけない。目下のところあまりの関心の高さに、コンサートチケットは発売と同時に即完売になってしまうのだ。

エルベ川を走るクルーズ船クイーンメリー2号から撮影した建物全景(まだ工事中の頃)の写真。

エルプフィルハーモニーへのエントランス。右が一般客用。

左にホテル客専用エントランス。

下の倉庫建築の中を抜ける未来的なエスカレーター「チューブ」で、8Fのプラザへ向かう。

途中6Fで、こんな港のパノラマが突然眼前に開ける。

無料で見学できる「プラザ」とハンブルクのパノラマを楽しめる遊歩廊。

プラザからホテルへのエントランス。

レセプション。背景にはエルプフィルハーモニーの現在地点の歴史的写真。

船の煙突の煙だけもくもくと出るトリック動画で凝った趣向。

ロビー。

エレベーター周り。

バー「ザ・ブリッジ」

レストラン「ザ・サフラン」

テーブルセッティングは朝食時のもの。

真っ赤なガラスの引き戸で、会食時は貸し切りにできるエリア。これはクリスマス・スペシャルディナーのセッティング。

19Fのウェスティン・クラブのラウンジ。ロスチャイルドのワイン各種を好きなだけ飲める。

エルプフィルハーモニーの屋根構造を間近に見られる。

クラブラウンジのレディース用化粧室。トイレドアの花のモチーフが素敵。

「エルプスパ」。プールが20mでハンブルクのホテルでは最長。

プールの窓からのインダストリアルな眺め。

リラックスルームから、夏は港側のテラスに出られる。

客室階のエレベーター周り。

客室階の廊下。廊下の壁には、ハンブルクの有名な港の歓楽街レーパーバーンの写真が飾られる。カーペットはエルベ川のさざなみ模様。

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244室は、建物南東部9Fから20Fまでに配された。最低でも地上40mの高さ。写真は「エルプフィルハーモニー・スイート」(46m2

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244室は、建物南東部9Fから20Fまでに配された。最低でも地上40mの高さ。写真は「エルプフィルハーモニー・スイート」(46㎡)

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このガラスファサードが、客室のパノラマウインドウとなっている。

部屋(ファサードの裏側)からの眺め。

外からはシルバーに輝いて見える楕円の外枠の部分の内側。ドットパターンと景色が重なり、アート作品的。

夜景。

どちらかというと、和の雰囲気が漂うバスルーム。お湯につかりながらの眺めが素晴らしい。

ホテルのレストランやバーだけでなく、北ドイツの港街ならではのビヤレストラン「シュテルテベーカー・エルプフィルハーモニー」(Störtebeker Elbphilharmonie)も気取りのない雰囲気で人気だ。伝説の海賊王シュテルテベーカーの名を取ったビール醸造会社の直営で、このブランドは国際的ビールコンテストで数々の賞を獲得している。倉庫建物内5Fに位置するが、エスカレーターで6Fまでのぼり、まずはパノラマウインドウからハンブルク港の眺めを堪能して、店への階段をおりよう。カウンターから椅子、テーブル、壁のレリーフ等、全てこの店のためだけのオリジナルデザインだ。(製作:Wagner Living)インテリアはリューネブルクのデザイン事務所フォルムヴェンデ(formwaende)が担当し、エルプフィルハーモニーの建築デザインへ敬意を表しながらシュテルテベーカーモダンなビール醸造文化と北ドイツのライフスタイルを融合したかったという。暖かさ、親密さを醸し出すマテリアルが使われた。バーの席からも港の夜景が眼下に広がる。グループで貸し切りできるチャンネルルームの天井にあるビール瓶で構成される大波が音楽的でもある。

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