イタリア

カ・サグレード・ホテル(イタリア・ヴェネツィア)

ホテル情報

Ca' Sagredo Hotel

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Campo Santa Sofia 4198/99, 30121 - Ca' D'Oro - Venezia
TEL
+39 041 2413111
FAX
+39 041 2413521
E-Mail
info@casagredohotel.com
URL
casagredohotel.com
カナル・グランデに面したサグレド宮殿。リアルト橋とカ・ドーロの間に位置。

ヴェネツィアのカナル・グランデ(大運河)に面した宮殿ホテルは数あるけれど、他のどの宮殿ホテルでも体験できない総合芸術空間を体験できるのが「カ・サグレード」。ホテルというよりは国立美術館に滞在するようなものだ。リアルト橋とカ・ドーロの間に位置し、ヴェネツィアの胃袋を支えるリアルト市場を対岸に臨む。ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロやセバスチアーノ・リッチ、ピエトロ・ロンギといった17世紀18世紀のヴェネツィアが誇る芸術家の筆触と色彩が天井や壁を埋め、優美で壮麗なることこの上ない。サグレード館は25年間も空き家のまま放置されていたのが7年を越える修復、改装プロセスを経て2007年5月にホテルに生まれ変わった。館内一部は国の文化財として保存されている。

建物は元々由緒あるモロシーニ家の15世紀の宮殿を17世紀半ばに、後にドージェ(元首)となるニコロ・サグレードが買い上げ、18世紀まで代々の主人が改築改装を重ねる。最後は一族の誰が宮殿を相続するかで壮絶な争いが続いたとのこと。サグレード家はヴェネツィア共和国の興亡の歴史と深く関わっている著名な貴族の一族。ブダペストの保護聖人で11世紀にハンガリーのキリスト教化に貢献し殉死した修道士の聖ゲラルド・サグレードやガリレオ・ガリレイの親友で「天文対話」にも登場するジョヴァンニ・フランチェスコ・サグレードも祖先にあたる。

18世紀に住んでいたザッカリア・サグレードはルネサンス時代からの絵画800作品に2000作品の素描や銅版画とそれは素晴らしいプライベートコレクションを築いた。ザッカリアの究極のロココ装飾の寝室インテリアはなんと大西洋を渡ってニューヨークのメトロポリタン美術館の所蔵となっている。建物の1Fはまだビザンチンからゴシックへの過渡期のスタイルで、ピアノ・ノビレ(2Fにあたる主階)への階段室から華のバロック・ロココの世界が広がる。大階段室はアンドレア・ティラーリの設計、智天使の大理石像(フランチェスコ・ベルトス作)が階段の手摺からゲストを歓迎する。壮大なフレスコ画はオリュンポスの神々と戦った巨人族が最後に稲妻によって自らの神殿の下敷になるという巨人族没落の運命をピエトロ・ロンギが描いた。夕方からは照明効果で空間がよりドラマチックになり巨人や神々が語りだすかだ。階段を降りてくる貴婦人の絹のドレスの衣擦れ音が響いてきそうだ。ヴェネツィア栄華物語が空間から聞こえてくる。ヴェネツィアにはヴェネツィアだけに通用する時計で時間が流れているのだろう。

階段を上がるとポルテーゴと呼ばれ正面中央の窓から建物後方まで続く縦長のサロン、ここからカナル・グランデを一望できるバルコニーに出る。神聖ローマ皇帝レオポルト2世(マリーアントワネットの実兄)が1791年にカナル・グランデでレガッタを開催した時このバルコニーから観覧されたという。バンケットルームの「音楽の間」も天井も壁もガスパーレ・ディツィアーニと弟子達のフレスコ画に覆われ、建築が天空まで届くかの騙し絵の下で、アポロ、ビーナス、ジュピターと神々に囲まれながらのディナーも可能だ。カウンターテナーの鋼鉄の天使のような歌声を響かせてみたい。一ヵ所だけカモフラージュの壁画があり、その隠し扉から愛人が舞踏会の最中に他のゲストに気がつかないようにサグレード卿の私室に忍べる通路に繋がっていたという。

パブリックスペースは圧倒される美しさでこんな宮殿の中ならもうどんなお粗末な部屋でも夢心地だと思って部屋に入るとダブルルームでもジュニアスイートに格上げしたいくらいに広くインテリアも建築に呼応する優雅さ。全42室の客室は同一のインテリアはなく織物や調度品の木彫りのディティール等、ヴェネツィアの伝統的な職人芸が生きている。うち24室がスイートで特に「歴史的スイート」の中にはヴェネツィアのバロック建築で最も美しいと評されるスタッコ装飾を堪能できる部屋がある。執政官だったジェラルド・サグレードがプライベートな余暇を過ごした部屋で、アッボンディオ・スタージオとカルポフォーロ・マゼッティ・テンカッラのファンタスティックなスタッコ芸術。見学して写真を撮りたかったのだが残念ながら空いていない。明日はチェックアウトだから明日の午後ならお見せできると言われても、明日の午後はもうハノーファーの自宅でコンピュータとにらめっこしている。スタッコの豹が天井の隅にお座りするスイートを一目でいいから見たかった。

さてバスルームはクラシックでかつ機能的。明るいグレーの大理石とステンレスの水栓金具やガラスはオーソドックスな組み合わせだが相性が良い。とてもユニークだったのがスタンド式のハンドタオル掛け、このスタイルのタオル掛けをホテルで見たのは初めてだった。空間のアクセントにもなっている。(個人的にはバスルームにまでテレビは置かなくていいと思う。)ひと風呂浴びた後はリアルト橋近くのワイン屋でプロセッコを、近くの店でトラメッツィーニ(サンドイッチ)を買い込みリビングコーナーで夜のピクニック気分に浸る。
翌朝ブレックファーストルームに降りていくと、「ドージェの間」にも「ティエポロの間」にも他に誰もゲストがいない。ドージェだったニコロ・サグレードの肖像画がその昔には壁に掛かっていたという「ドージェの間」でまずは目覚ましにコーヒーを頂く。パステルカラーでバタークリームのデコレーションケーキの香りがしてきそうなスタッコ装飾に縁取られたニコロ・バンビーニの天井画を見上げる。月桂冠を戴く太陽神アポロが逃げるダフネを追いかけているのだろうか。さて1杯目のコーヒーを飲み終えても他に入って来るゲストはいない。それではと2杯目のコーヒーは「ティエポロの間」に移った。ヴェネツィア派最後の巨匠ティエポロはこの宮殿のために複数の作品を制作したが、相続問題が絡み散り散りに売却されヴェネツィアを讃えるこの天井画だけが唯一こうして残っている。

ヴェネツィアに数ある教会の中でもサン・フランチェスコ・デラ・ヴィーナ教会はヴェネツィアの守護聖人聖マルコの伝説と深く関わる由緒ある教会だが、ここにティエポロのフレスコ画で有名なサグレード家の礼拝堂がある。この教会は日本人でもウェディングできるようで、ティエポロのフレスコ画に囲まれ挙式してサグレード宮殿でハネムーン出来たらロマンチックだろうな、などと考えていると、昨年ロンドンのクリスティーズでティエポロの未公開作品『フローラ』が競売にかけられたニュースを思い出した。フランスのある城主が自分の子供達に描かれた婦人の乳房を見せたくないと屋根裏に隠して世から忘れられてしまっていたという肖像画で、約4億円で落札された。するとこの天井は一体何億円になるのだろう?と俗な疑問も頭をかすめ、何度も天井を見上げてばかり。スペイン王宮やヴュルツブルク司教宮殿のティエポロの天井画の下ではまさかこのようにゆで卵の殻を剥いたりパンにマーマレードを塗ることは許されない。可能な限りスローに食べて朝食タイムが終わるまでしぶとく居座ったのだった。

サンタ・ソフィア広場に面したエントランス。
カナル・グランデ側のエントランス。

広場側からのエントランスホール。

レセプション
レセプション・ホールから2階の広間に続く豪華階段(1732年完成)。
設計:Andrea Tirali

ケルビム(智天使)の大理石像はFrancesco Bertos作。
床はフローラル模様を描く大理石のモザイク。

多目的ホール「音楽の間」。天井、壁全面が見事なフレスコ画(Gaspare Diziani作)で覆われる。音響が抜群で、18世紀には華やかな舞踏会が開かれた。

「音楽の間」の天井画。

2階中央のホール「ポルティゴ」。
ムラノガラスのシャンデリアに照らされる。
壁を飾るのはAndrea Urbaniの絵画。

バルコニーからの眺め。
ポルティゴからこのサロンを通ってブレックファーストルームへ。
ブレックファーストルーム「ドージェの間」。

18世紀初頭のスタッコ装飾に太陽神アポロを描いた天井画(ニコロ・バンビーニ作)。
「ドージェの間」から「ティエポロの間」、更に「音楽の間」へと続く。
ジャンバッティスタ・ティエポロのヴェネツィアを讃える天井画の下でも朝のコーヒーが飲める。まさに美術館に滞在するよう。

カナル・グランデに面したサグレード宮殿。リアルト橋とカ・ドーロの間に位置。カナル・グランデに面したヴェネツィア料理のプチ・レストラン「アルコーヴァ(アルコーブ)」とバー「インコントロ(出会い)」。
ウォーターフロントのテラス席。テラスからはシェフが食材を仕入れるリアルト市場が対岸に見える。

客室階の廊下もエレガント。
客室階を結ぶ階段室。

2009/08/01時点の情報です

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