周囲の環境と呼応する心地よい住まい
小さな庭を通りから敷地の奥へ抜けるように配置し、奥にある隣家の庭と通りを挟んだ正面のオープンスペースをつなげ、庭側の隣地にある緑地と併せて、まとまりのある抜けを街に提供することが出来た。庭による近隣の緑の継承とつなぎ直しとともに、建築的には、軒や庇の水平線が強調された周囲の住宅の形式を参照しつつ、このスケールだからこそ考えうる新しい内外の関係性を目指している。庭に向かった大きな開口と、1階天井際にぐるりと廻した欄間状の開口により、外部環境が内側に侵入し、欄間やモルタルで仕上げた囲いの隙間を通して、ゆっくりと外へ抜けて行く。内部と外部が緩やかにつながったような場に落ちる柱の列は、周囲の樹木と呼応しながら、抽象的なVOIDとは違う実在感をともなった、密度のある場をつくり出している。水栓などインテリアのキーとなる器具については、オーソドックスでありながら、特別な存在感をまとう建築を求めていたクライアントに、最もお勧めしやすかったのがセラトレーディングの商品だった。
南北に細長い庭は、敷地奥に面する隣家の庭と連続して、街の景観形成に貢献している。可動式のベンチは道路と庭を緩やかに仕切る役割を担う。 縁側を介して庭とつながるLDK。木製引戸は壁の外側に引き込むことでフルオープンとなる。中央の小さな吹抜けは上部で子供部屋、書斎、浴室に面する。