プレーリースタイルを再定義する(葉山加地邸)
国の登録有形文化財として登録された、1928年竣工のプレーリースタイルの邸宅をホテルにリノベーションしたプロジェクト。
当時の設計はフランク・ロイド・ライトの弟子の遠藤新。彼の作品のなかでも特にフランク・ロイド・ライトの直接的な影響が幾何学模様を駆使したデザインなどに現れている。わたしたちは歴史を継承しながらも、従来の保存という枠を超えて現代のライフスタイルに合致した新たなデザインを生み出すことを目標とした。
具体的には、文化財の最重要箇所は保存に徹したうえで、プレーリースタイルの哲学を表す幾何学をモチーフに新たなデザインを作り出し家具等様々な場所に活用した。また文化財保存に影響なく変更できる部分を活用し、地下に吹抜けの浴室をつくるという大胆なプログラムを提案した。浴室では歴史や様式を継承しつつ、現代的なシンプルさを表現するのに十分なデザイン性をもった水栓金具を選定した。
わたしたちが目指したのは、現代と過去との対話を表現し、新たな生活を楽しんでもらうためのデザインである。
アプローチから玄関を望む。照明やランドスケープの計画も監修し、プレーリースタイルの既存樹木を活かすよう再生した。 室内として使われていた空間をオープンエアにしたテラススペース。中心には暖炉を設置。プレーリースタイルの柱の構成を応用して木製ブロックを積み重ねることで、どこに座っても向き合ってのコミュニケーションが生まれやすい空間とした。
サロン。家具・インテリアの仕上げは修復に徹する一方、現代的なライフスタイルに必要な光を間接照明で補った。 ビリヤードルームとして使われていたプレイルームは、プレーリースタイルの哲学を表す幾何学をモチーフに、スツールとテーブルをデザインし再生した。